リビング

LDの北西の開口からは、裏庭の奥にある山林の様子がどこからでも眺められる。
小上がりの和室からつづくベンチは造作によるもの。

南側外観

南側に開口が多い周辺の住宅に対して、南側は遠方の山を感じられる窓のみに絞った。裏山と大屋根の形状を揃えた。

キッチン

キッチン周りは回遊動線を確保。スタディコーナーのカウンターとダイニング収納を造作。奥の窓からは遠方の山が見える。

LDK

屋根の大きな傾きを利用した勾配天井で開放的な空間に。床にしようしているのは桧の無垢材。

玄関周り

篠山の周辺散策が夫婦の楽しみ。自転車もかけられるスペースを計画した。帽子コーナー、ファミリークローゼットなど動線にも配慮。

　計画地は、山々が勇壮で自然の豊かさを感じる丹波篠山市で、観光地からは少し離れるも、近くには桜並木もあり田園広がる立地。しかし、市に開発された住宅団地のなかで売れ残った一番北側の土地。北側は山林に面するが、南側には住宅が建ち並び篠山らしい山と田園の風景は遮られていた。施主は、近くに奥様の実家の大きな農家住宅がある若い夫婦と子供の３人暮らし。「篠山らしい自然の豊かさを感じながら暮らしたい」というご夫婦の要望を受け、地形を活かしながらいかに山の景色を取り入れるかがテーマであった。
　まず、外観は裏の山林の形状に沿った大屋根として、南東の日光が建物の影にならず、北側の山が明るく綺麗にリビング大開口から見えるようにするとともに、地域住民からも山が隠れてしまわないようにした。そして山の緑が一番濃く美しく輝く位置にピクチャーウィンドーを設け、1階のLDKの随所からも、吹き抜けにある２階図書コーナーからも、見えるよう計画した。南側の窓も住宅の合間から見える南側遠方の山々を望める位置に開口を配した。遠方の山と近くの山をうまく切り取る事で、家の外にいるよりも、家の中で山を美しく感じられるよう計画した。